長く愛されるものは新しい古いの概念を超えていくと思う

最近、仕事場でマイケル・ジャクソンが流れた影響で、YouTubeでマイケルのMVを漁って見ています。

兄がマイケル好きなことがあって幼少期から割と耳馴染みはあったんですが、マイケルの死後、一時期今と同じように漁ってましたね〜。もうあれから9年経ったそうで・・・

マイケルの楽曲って、今見ても古さを感じないですよね。死後なお新譜が発売されたり、それが未だに大ヒットしたり、人々の心に”キング・オブ・ポップ”は永遠に残り続けています。

マイケルだけでなく、末長く愛されるものって古さを感じさせないものが多いです。もちろん、音楽に限った話ではありません。

漫画だってそうです。

つい先週土曜日、7月22日は「ONE PIECE」が1997年に連載をスタートしてちょうど20年という節目でした。それこそ少年ジャンプは来年50周年、半世紀という長きにわたって今なお愛され続けています。

「ONE PIECE」の原作者・尾田栄一郎先生は、あえて時代の流行は追わないと言います。時代の流行というのは一時的なもであり、それを取り込んでしまうと時代が移り変わったときにウケなくなってしまうからだそうです。

とくに最近、漫画業界では、「デスゲーム」「頭脳バトル」といったジャンルが氾濫していますよね。少年マガジンでは、「頭脳バトル」に限定した新作コンペを開催したほどです。

漫画雑誌が売れなくなってきた時代、単行本売上もピークアウトを迎えてしまった感が強い漫画業界で、兎にも角にも即効性のあるヒットが欲しいのもわかります。

ただ、やはりその後10年20年と愛され、連載終了後も人気の衰えない超人気になるような漫画も見てみたいものですね。

今回は、そんな長く愛される漫画について書きました。

ドラゴンボール

言わずと知れた、少年ジャンプで1984年から1995年にわたって連載、テレビアニメも高視聴率連発、ゲームを始めとした関連グッズも大ヒットするなど、日本どころか世界に誇る大ヒット漫画です。

連載当時から、10年以上という長期にわたって人気を誇った漫画ですが、さらにすごいのは連載終了後。

連載当時のカラー扉などを再現した完全版が発行された2002年前後を機に、

  • テレビアニメの再放送
  • 新作ゲーム発売
  • カードゲームなどの新グッズ発売

など幅広い展開が行われました。

とくにアニメの再放送が、夕方の早い時間、放送局はオリジナルと同じフジテレビ系列ということもあり、連載当時・放送当時にはまだ生まれていなかった小さなお子さんにまで浸透するという現象が起こるまでに。

そうして、連載終了後も新たなファンを獲得し続け、2013年には18年ぶりの新作映画、長編の単独作品としてはドラゴンボール初の(当時は他のアニメと抱き合せの短編映画のみだった)「神と神」が公開、2年後にはその続編「復活の「F」」が公開されどちらも大ヒット。

それだけにとどまらず、ついには2015年、「GT」から18年ぶりの新作テレビアニメシリーズ、「ドラゴンボール超(スーパー)」の放送まで開始しました。

この怒涛の新作ラッシュのおかげか、アーケードカードゲーム「ドラゴンボールヒーローズ」を中心とした関連グッズの売り上げは、2017年3月期決算で現役ジャンプ作品である「ONE PIECE」を抜くほどの勢いとなっています。

株式会社バンダイナムコホールディングス 2017年3月期(平成29年3月期) 決算短信 補足資料

なんでこんなにまで、長い間愛されるのか?やはり、「ドラゴンボール」に古くささが無いからではないでしょうか。

「ドラゴンボール」がスタートした1984年、当時のジャンプは「北斗の拳」「キン肉マン」「キャプテン翼」といった漫画が主力でした。

これらの作品は、どちらかといえば泥臭い、ジャンプの3原則である「友情」「努力」「勝利」を色濃く受け継いでいます。画風も、太く強弱のはっきりした線で描かれていました。

対して「ドラゴンボール」は、ペンのタッチの強弱はあまり出さずほぼ均一の太さの線で描かれていて、当時の担当編集・鳥島和彦さんの方針により、あまり「努力」の要素は描かないようにしていたといいます。

とくに、「北斗の拳」「魁!!男塾」など劇画チックな画風の漫画が多かった中で、ここまでシンプルに描かれた漫画というのは非常に珍しかったのではないでしょうか。

「ドラゴンボール」が始まって以降もしばらくは、強弱の強い線、綿密に書き込まれた影、といった濃い絵柄の漫画は多く登場しています。「CITY HUNTER」や「聖闘士星矢」、「ジョジョの奇妙な冒険」といった面々です。

どちらかといえば、「ドラゴンボール」のようなライトな絵柄は、連載終了後の90年代終盤くらいから増えたような気がします。「ONE PIECE」「NARUTO」あたりが、代表的な「ドラゴンボール」フォロワーですね。

連載当時は、初期の頭身の低い可愛らしい絵柄から、サイヤ人登場あたりからの筋肉ムキムキの力強い感じに変わっていきました。

しかし、2013年以降の映画2作、テレビシリーズの「超」では、当時から大きく絵柄が変わったということはありません。およそ20年以上前の絵柄が、未だに受け入れられているということです。

絵柄だけでなく内容の方も、連載当時からたいして変わっていません。

「強い奴が出てくる→倒す→さらに強い奴が出てくる→倒す」のループを延々と繰り返しています。単純と言えば単純ですが、この単純さが逆にどんな時代でも普遍的に受け入れられる要因なんでしょうね。

後続の漫画への影響力もすごくて、先ほど挙げた「ONE PIECE」や「NARUTO」が「ドラゴンボール」の影響を強く受けているのはもちろん、最近ではマガジンの「FAIRY TAIL」「七つの大罪」などもかなり影響を受けていることが感じられます。

この漫画の作家先生方は、まだ連載当時の「ドラゴンボール」に直に触れた方々なのでわかりますが、今後、当時まだ生まれてもいなかった新人漫画家が「ドラゴンボール」に強く影響を受けた作品を世に出すことも考えられますね。

「僕のヒーローアカデミア」の原作者・堀越耕平先生は、幼少期に「ドラゴンボール」が好きだったと答えていますが、堀越先生は1985年生まれ。つまり、「ドラゴンボール」の開始よりも後に生まれた漫画家です。これからだんだんと、こうやって下の世代の漫画家が出るのも時間の問題だと思います。

やはり、時代の流行にとらわれない普遍的な価値観というのは、時を超えて受け継がれていくのでしょうね。

ちなみに僕も、漫画を描いて少年ジャンプに持ち込んだ経験があるのですが、そのときに編集者の方に言われたのが、「絵が鳥山明っぽい」でした。僕の中にも、「ドラゴンボール」の遺伝子が、知らず知らずのうちに流れていたみたいです笑

ジョジョの奇妙な冒険

もう一つあげたい、長きにわたって愛され続ける漫画は、「ジョジョの奇妙な冒険」です。

「ジョジョ」は、1987年に始まって今なお連載が続き、今年連載30周年を迎える長寿漫画。

連載何十周年の長寿漫画と聞くと、「こち亀」「ゴルゴ13」「ドカベン」など、根強いファンがつくことで長く続いているイメージがあります。悪く言ってしまえば、オジサン読者が多いイメージ。

対して「ジョジョ」は、連載当初からのファンも数多くいますが、若年層の新規ファンも未だに増え続けている点が他の長寿作品と違います。

連載25周年を迎えた2012年には、初となるテレビアニメも放送開始となりました。アニメ化の一報が出たときは、ネット上で「今更アニメやるの?」「化石みたいなもんだろ」といった声も非常に多く見受けられました。

しかし、いざ放送が始まればアニメも大ヒット!DVDやBlu-rayが5,000枚売れればヒットと言われるアニメ業界で(厳密には違うらしいですが)、1巻が2万枚を超えるほどになりました。
(ちなみに、僕もアニメ1期分のBlu-ray全巻所持しています。総額で6万くらいはした気がする・・・)

アニメはシリーズ化され、現在第4部「ダイヤモンドは砕けない」まで放送されています。1期ほどの熱気はありませんがこちらもヒットしており、第5部以降のアニメ化も時間の問題でしょう。

なぜ、ここまで長きにわたってファンを増やし続けているのでしょうか。

10〜20巻程度で物語を一旦終わらせることから、綿密に組み立てられたストーリーものでありながら、途中からでも読みやすい構成になっていることが一因になっています。

ただ、それ以上に大きいのは、劇中に登場する超能力「スタンド」ではないかと僕は考えます。

そもそも、最初の頃、第1〜2部のときは、「波紋」と呼ばれる能力でキャラクターがバトルを繰り広げていました。それが、なぜ第3部から「スタンド」に変わっていったのか。

原作者である荒木飛呂彦先生は、テレビ番組のインタビューで理由を答えていました。それは、

当時の担当編集に、「波紋はもう古い」と言われたから。

かなり単純ではありますが、荒木先生を突き動かすには十分すぎる一言。この一言にカチンときた荒木先生は、「だったら新しいヤツ考えてやるよ!とびっきりのヤツを!」と息巻いて考えついたのが、「スタンド」だったというわけです。

第3部が始まったのは僕が生まれた1989年、28年もの前のことです。

そのときに生み出された「スタンド」という設定がどうですが、今なお最新作である第8部「ジョジョリオン」でも物語の中心にいますよ!

「古い」と言われた波紋に変わる新しい要素として生み出されたスタンドが、四半世紀以上たった今でも古さを感じさせることなく燦然と輝き続けているという事実。スゴ過ぎです。

それこそ、バトル漫画において、共通のシステムを有しながら、キャラクターごとに異なる特殊能力を持たせるようになったのは「ジョジョ」のスタンドが原点だと思います。
(特殊能力に限らず言えば、「聖闘士星矢」の聖衣(クロス)の方が先かもしれませんが・・・)

その後、「ONE PIECE」のゴムゴムの実、「HUNTER×HUNTER」の念、「NARUTO」の忍術・チャクラ、「BLEACH」の斬魄刀などなど、同様のシステムを継承したバトル漫画が非常に多くなりました。

「ジョジョ」自体、今なお現役として連載され続けている漫画ではありますが、こうして後続の作品に遺伝子が残り続けているのも長く愛され続けている証拠でしょう。

そんな「ジョジョ」ですが、連載30周年を迎えた今年、まさかの実写映画化を果たします。こちらは前評判が最悪過ぎますが、どうなることやら・・・

実写版「ジョジョ」は果たしてコケてしまうのだろうか?

2017.07.02

他にもたくさんある

長く愛されている漫画というのは、まだまだたくさんあります。

それこそ「ONE PIECE」もそうですよね。連載20年目を迎えた今なお、日本で一番売れている漫画として君臨し続けています。

「SLAM DUNK」は、連載終了後の展開がほとんどありませんが、2006年の文化庁が行った文化庁メディア芸術祭「日本のメディア100選」の漫画部門にて堂々の1位を獲得。また、多くのファンから続編が望まれている漫画でもあります。

「名探偵コナン」は、1997年の「時計じかけの摩天楼」以降、毎年映画が公開されていて、ここ数年は毎年のように興行収入の最高記録を更新し続けています。

今年公開された「から紅の恋歌」は最終68.7億円とされていて、「ONE PIECE FILM Z」が記録した漫画原作のアニメ映画史上最高記録と並びました。(ワンピファンとしては、若干悔しい・・・)

その他にも「ドラえもん」「アンパンマン」「クレヨンしんちゃん」、10年周期で新作アニメが作られる「ゲゲゲの鬼太郎」など、長く愛される漫画はたくさんあります。どれも共通しているのは、今現在見ても色褪せないという点。

こういった漫画が今後生まれるように、とくに個人的に好きな少年ジャンプから生まれたら良いなぁ、と思います。